ぼぎ子の恐怖図書館

好奇心には道徳がないのであります

出版禁止 ネタバレ レビュー

不倫の果ての心中。何故、女だけが生き残ってしまったのか。

よくも悪くもミーハーな人にはウケの良さそうな作品

 

オススメ:⭐️⭐️⭐️

     ※星の付け方については↓の記事をご参照ください

bogibogiko.hatenablog.com

作品概要とあらすじ

 

作者 長江俊和

出版社 新潮社

発表時期 2017年

ページ数 269ページ

 

備考 禁止シリーズの第1弾。他に掲載禁止、出版禁止 死刑囚の歌、掲載禁止 撮影現場、出版禁止 ろろるの村、という作品が出版されている。(シリーズ全5作品)

 

 

 

7年前に実際に発生した心中事件に関して、放送禁止となったドキュメンタリー映像の謎を作者である長江俊和自身が追うという体裁のノンフィクション仕立てのフェイクドキュメンタリー

 

あらすじ

世の中の闇に切り込む鋭い作品を数多く輩出していた人気のドキュメンタリ−作家が秘書と心中し、その映像を残していた。

愛人の女性だけが生き残った心中の記録映像を行方を追って事件を調べるうちに、真相に辿り着くジャーナリストの主人公。

 

某貴族の遅めの朝食を意味する情報番組で大どんでん返しが凄いだとか、

怒涛の展開だとか、とにかく絶賛・激賞しまっくっていたという作品。

Amazonレビューも415件で星4つ。

 

 

感想

作品に登場する有名なドキュメンタリー作家とは伊丹十三監督がモデルなのだろうかと気になった。心中ではないが謎の死を遂げている大物監督である。

私は彼の作品がとても好きだった(特にホラー映画のスイートホーム)ことを思い出した。全然小説と関係無いけど。

 

元々、映像作家であった作者の長江俊和氏のインタビューでこの作品に対する意気込みとして「真実とは目に見えないものだというメッセージを込めたかった」という記事を見たが、残念ながら、本書を読んだ感想は伏線が視覚的すぎるという印象だ。

 

主人公や愛人の名前がアナグラムになっていて、並び替えると名前以外の事実が浮かび上がってくるだとか、

伏字の◻︎◻︎という表現が実は「刺客の刺客」になっているような漢字の意味違いだとか、

主人公が記している日記を段落の上部の単語だけを拾って読むと真相が書かれているだとか。

 

映像化された作品を、ニコニコ動画あたりでみんなで考察コメントを流しながら観るなら、そこそこ楽しめるだろうが、ミステリ好きにはどうだろうか

主人公の男性がミイラ取りがミイラになっていく様子や、愛する人間を守りたいという女性の犯行動機、そういった見えない心の中のこもごもが知りたかった。

 

メリットとしては読みやすいし、情景描写も簡潔でイメージしやすい。

よくも悪くもミーハーな人にはウケの良さそうなギミックが詰まった作品だなという印象であった。

 

正直、「禁止」シリーズはもうこの1冊でいいかなという感じ。身も蓋も無いがやはり、この作者は映像作品の方が向いているのではないかと思う。

しかし、同じ作者で古今東西の奇譚、禁忌について書かれた「検索禁止」という作品もあり、こちらは事実に基づいて昨今の色々な都市伝説を考察した本らしいので機会があれば(Kindle Unlimitedに入れば)読んでみたい。

 

 

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似ている作品

最近にている作品にアマゾンプライム「この映像は再生できません」というお笑い芸人の加賀屋が出演しているドラマがあるが、この作者が関わっていたテレビドラマ「放送禁止」というシリーズを模したものだろうと思う。

こちらも映画化が決定しているらしい。

頭を使わずに観られるあっさりテイストの謎解き動画を観たい人向き。

 

📺フジテレビ系列 「放送禁止」シリーズ

📺テレビ神奈川 「この動画は再生できません」シリーズ