ぼぎ子の恐怖図書館

好奇心には道徳がないのであります

笑う淑女 ネタバレ レビュー

貴方の中で物語の中の「稀代の悪女」と言えば誰ですか?

悪女を主人公とした痛快な小説かと思いきや……

警察の無能さに戦慄するラスト!!

 

オススメ:⭐️⭐️

   ※星二つなのでレビュー短いです

中山七里氏との出会い

普段からホラーばかり読んでる私が読むミステリーと言えば、横溝正史江戸川乱歩綾辻行人くらいのものだったが、中山七里氏とは毎朝の散歩中に欠かさず聞いている

Audible(オーディブル出会った。

 

Audible(オーディブル)とはAmazonのオーディオブックのサービスです。

日課の散歩や、日常の家事の最中、通勤時間でも物語を聴くことができて非常に重宝しています。

新作も意外と早く導入されますし、何より、俳優さんやプロのナレーションで朗読されるので臨場感があり、聴きやすいです。

 

その昔「テール・オブ・ア・テラー」ラジオドラマなどにハマっていた人には是非試して欲しいサービスであります。

 

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「中山七里のミステリーの書き方」

 

「中山七里のミステリーの書き方」というポッドキャストが面白くて毎日聴いていた。

編集者が欲しい物語はどんなものか、自分は今までに読んだ膨大な物語の中から、ニーズに合わせてストーリーを組み立てるだけ。と、完全な請負仕事で、職業作家に徹していると語るドライな中山氏の、作品を生み出すスタンスがとても興味深かった。

中山氏は2-3日寝ないのは当たり前で、眠気を払うために足の裏にコンパスを突き刺して出勤したこともあるという。小説家とはこんなにも過酷な生活なのかと、感心しながらも笑って聴いてしまうポッドキャスト(ラジオみたいなもの)だった。(全7回)

河原をニヤけながら走っている私はさぞ怪しい人物に見えただろう。

では、中山七里という作家はどんな作品を書いているのだろうかと、読んでみた中山七里氏の作品1作目。

作品概要

作者 中山七里

出版社 実業之日本社文庫

発表時期 2017年

ページ数 336ページ

 

あらすじ

おブスで冴えない中学生、野々宮恭子はクラスのいじめと、自らの難病に絶望するが、従姉妹の蒲生美智留に奇跡的に命を救われる。

圧倒的な美貌と明晰な頭脳、カリスマ性を持つ彼女へ強烈な憧れを抱いた恭子は、その後の人生を蒲生美智留と共に生きること決める。

 

やがて絶世の美女に成長した美智留は自らを「ライフプランナー」と名乗り、人間の欲望を巧みに操り、自らは手を汚さずに犯罪や殺人を繰り返していた。

 

あるとき、「夫がリストラされ生活が苦しい」という相談をしてきた女性、古巻佳恵に教えた生命保険詐欺の手口、実行犯のやり方がお粗末すぎて警察に怪しまれ、佳恵は逮捕される。警察の尋問中、佳恵の口から美智留の名前が出てくる。そこで初めて過去の事件も含めて蒲生美智留という人間を怪しむ刑事が現れ、美智留の過去について改めて捜査を開始する。

 

刑事の捜査で、美智留が過去に行った自殺に見せかけた人身事故が実は殺人だったという証拠が押収され、美智留は裁判にかけられる。

 

裁判所で明らかになった数々の証拠で美智留は窮地に立たされるが、女は最後に「実は私は蒲生美智留ではなく整形した野々宮恭子だ」と発言し、証言台に立った整形外科医も手術をしたことを明らかにする。

検察も野々宮恭子について立件する準備はしておらず、美智留は無罪を勝ち取る。

 

美智留だった人間は、すでに亡くなったはずの野々宮恭子として生きていく。

 

 

おしまい

 

悪女を主人公としたスカッとするような小説を書いてください!

 

この作品に対する編集者からの注文はこんな感じだろうか。

さらに、今までの作品からいくつかキャラを出して、スピンオフ的な作品にしてくださいと言われたかもしれない。最終章にポッと出てくる何やら胡散臭い弁護士やら整形外科医の存在が気になった。(他の作品読んでないから知らんけど)

 

莫大な裏金で図書館ができるほどの本を買ったと宣う国会議員、加害者が未成年だからと被害者が実名報道される社会、何度通報しても民事不介入で殺されるまで動いてくれない警察はちまちまネズミ捕りばかりしている。

言いたいことも言えないこんな世の中じゃ……poison!

 

世知辛い世の中で、せめて漫画や映画、小説の中でだけでも、スカッとしたい

 

国や法が裁いてくれないから、やったもん勝ち!

どうせ死んだ奴らは自業自得だ!

 

と痛快な気持ちにさせてくれるダークヒーロー(ヒロイン)ものが読者ウケするのは理解できる。私もそんな物語を読みたい。

 

賢く美人な悪女が、悪行の報いを他者に受けさせながら邁進する様は、物語のテンポが良いことも相まって、読んでいてとても気持ちがいい。

 

しかしながら、それは最終章には当てはまらなかった。オチ(どんでん返し?)が残念だった。

 

同じ人間がなん度も整形手術を繰り返し、他人に成りすます?ダウンタイムは?

家族なのに気づかない?声は同じにできるの?

自分で直接手を下さないで完全犯罪してたんじゃないの?

なんで銀行員だけ直接突き飛ばしたりしたの??

 

最後の章で明かさらた真実には疑問しか湧かない。

 

ただ、日本の警察は無能という意味ではリアリティを追求した作品なのかもしれない。

あんな杜撰な言い逃れでせっかく捕まえた殺人鬼を世に放つんじゃないよ!

 

ホラーだったら、最後だけ残念で星4つつけると思うけど、ミステリーで納得いかないのは致命的だった。もやるもやる。

中盤までは面白かっただけに本当に無念だ。

 

中山七里氏の文体はわかりやすく、テンポもよく読みやすいことがわかったので、

今後の懲りずに他の作品も読んでみたいと思う。(カエル男とか)

続編もオーディブルに入ったら、聴きたい。

 

 

私の中で好きな「悪女」は今のところピエール・ルメートル「その女アレックス」に出てくるアレックスかな。

 

貴方の思い描く悪女は誰ですか?

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